Column

「ほめる育児」から「勇気づける育児」「認める育児」へ

少し前まで、育児のキーワードとしてよく聞かれた「ほめる育児」。

人には誰でも承認欲求があります。ほめられることで子どもは自信がつき、また意欲的に行動できると言われてきました。しかし最近ではアドラー心理学が注目され、「ほめる育児」よりも「勇気づける育児」「認める育児」が大事という考え方をよく耳にするようになってきました。

皆さんはどんな時にお子さんをほめていますか?「何かができたとき」や「頑張った時」だけほめていると、やがて「何かができないとほめてもらえない」「頑張らないとほめてもらえない」と自己肯定感が低くなってしまうことがあります。結果だけをほめると他者の評価が気になり、「ほめてもらえるために」頑張るようになります。

“ほめる”というのは行動が良好だったときに与えられるものであり、その子の行動が良くないと肯定しないということになります。でも子どもは、例え親にほめられなくても、自身の存在を認めてもらえさえすれば安心します。視線を向け、微笑みかけるだけでも子どもは自分の存在を「認めてもらえている」と自己肯定感が高まります。

愛情の反対は「憎しみ」ではなく「無関心」です。子どもにとっては「ほめられる」ことよりも「自分の方を向いてくれている」かどうか、日々の大人の接し方の方がもっと重要です。

子どもたちには問題や困難にぶつかった時に、自分の頭で考え答えを見つけ出せる大人に育ってほしいと思っています。ほめることや叱ることは親の判断基準です。子どもが自分の判断基準を持ち、自発的に行動できるように関わっていけるように言葉をかけていくことができるといいですね。ヒントになる4つの言葉を紹介します。

1「ありがとう」感謝を伝える言葉

2「うれしい」 気持ちを伝える言葉

3「たすかる」 貢献感をはぐくむ言葉

4「だいすき」 愛情を伝える言葉

アドラー心理学で言う「勇気づけ」とは「励まし」のことではなく、あくまで対等な立場からの本人の意思や主体性を尊重した言葉かけです。

 

私自身は「ほめる」ことが間違っているとも思いませんし、大事な行為の一つだと思っています。ただ、「叱らない育児」や、「ほめない育児」「なんでもほめる」というような極端な考え方に惑わされず、自分の正しいと思うもの、大切だと思うものを試行錯誤しながら実践していきたいと思っています。情報化社会の昨今、育児の情報は至るところにあふれています。そんな氾濫する情報の中で何が本当に大事かを見極めることが大切なのではない

でしょうか。