Column

自由と規律

自由と規律

 先日、3名の保育士専門学生が卒論のインタビューも兼ねて、園に見学に来ました。

ビュッフェスタイルや室内活動などを見ながら、自分で考えて行動する子ども達の姿に感銘を受けた

様子で、「この園の子ども達はすごいですね」と何度も言ってくれました。

園の考え方や方針などを中心に説明していく中で、こんな質問がありました。

「自由保育の自由はどのくらいですか?自由の中にルールはありますか?」

私にとって、これは想定外の質問でした。

もちろん私の中で答えはありましたが、久しく言葉で口にしてはいないものだったからです。

改めて思い起こし、考えるきっかけをくれた学生に感謝の気持ちを覚えました。

今回のコラムは自分の考えを深めるために、「自由と規律」について書くことにします。

 モンテッソーリ教育では、『自由と規律はコインの裏表』という言葉があります。

はじめに大前提として、『自由』と『放任』は違います。

本当の自由とは、規律がなくては成り立ちません。

一方、放任は規律がなく勝手気ままな状態です。

「自由な生活」と一言に言っても、それぞれが相手のことも考えず好き勝手に行動していては、対人

関係はもちろんのこと、社会生活が成り立ちません。

子どもにとって初めての社会である保育園生活でも、規律を守るということは重要です。

例えば、子どもが室内活動をしている時に、使った教具や教材を一切片付けずに使い放題で、そのまま

放置していたら、どうなるでしょうか。

どこに何の教具があるかわからず、また、秩序の敏感期にある子ども達にとってそのような雑然とした状況は、気持ち的にも落ち着きません。

そこで、子ども達には一連の流れ(ルール)を伝えています。

【やりたい教具を棚の中から出す。使い終わったら同じ場所に戻す】

これで、「物には納まる場所があり、いつもその場所に変わらず置いてある」という環境を認識します。それにより、子どもも秩序感や安心感を得られます。

また、「次の人のために整えて置いておこう」という他人への配慮、という面も育ちます。

室内では、例えばピンクタワーなど教具の中には部屋に一つしかない物も多いです

それは、なぜだと思いますか?

室内にたくさん数を用意することは可能ですが、教具を一つにしておくことにより、順番を待つということを環境が教えてくれます。

もちろん待つことが嫌な子どももいますが、「次は自分の番」と期待しながら「待つ」ことで忍耐力も

付き、大切な経験になります。

この規律を守ることで、自分の番の時に誰かに邪魔をされることもありません。

 このように、『規律を伴った自由』を体験していく中で、子ども達はルールを守ることの大切さを知り、それにより社会性が育まれます。

それは「相手のことを考える(思いやる)」に繋がります。

これからも、子ども達の自由や選択を十分に尊重しながらも、同時に規律や秩序、人としてどう生きるかを大切に伝えていきます。                           (中野)