Column

よく噛んで食べていますか?

よく噛んで食べていますか?

先日久しぶりに「未来顔」の写真を目にしました。今から20年ぐらい前に、100年後の日本人を予想して、研究者が作成したのが「未来顔」です。「未来顔」は、今までの50年間の変化がこのまま100年続いたら、という仮定にもとづいて作成され、あごが極端に細くなっています。

 

なぜ「未来顔」はあごが細い?

 現代人は柔らかい物ばかり食べているからあごが細くなっていると言われています。では昔とはどれぐらい噛む回数は違うのでしょうか。女王・卑弥呼の時代(弥生時代)の人びとは、1回の食事に約4000回も噛んでいたそうです。その時代の食事は、玄米のおこわや乾燥した木の実、干物など、硬くて、噛み応えのある食材で構成されていたと考えられています。農林水産省のサイトには、「戦前の食事は1420回噛み、約22分だったのに対し、現代の食事は620回で約11分と、噛む回数、食事時間とも半分に減っています。」とありました。確かに意識して数えてみたら、私はだいたい20回ぐらいでした。

肥満防止

味覚の発達

言葉の発達

脳の発達

歯の病気予防

がん予防

いー

胃腸の働きを促進

全身の体力向上

 

 


よく噛むことは、全身を活性化させるのにたいへん重要な働きをしています。長い生涯をより健康に送るため、厚生労働省では「80歳で20本の歯を残そう」という「8020運動」を行っています。学校食事研究会では、噛むことの大切さを知ってもらうために、「ひみこのはがいーぜ(卑弥呼の歯がいいぜ)」という標語をつくっています。

 

噛むことの効能

また、咀嚼と脳機能の関係性についての研究も進んでいます。マウスモデルでは、咀嚼刺激が低下すると、顎骨や咀嚼筋の成長と記憶・学習機能が障害される可能性が見いだされました。

※国立研究開発法人日本医療研究開発機構、平成29年6月16日プレスリリースより抜粋(https://www.amed.go.jp/news/release_20170616.html)

食事はサプリでもいい?

 噛むことは身体にいいとわかっていても、ついついおざなりになってしまう時もあります。我が家の息子は「サプリで栄養摂ればよくない?」と言ったことがありましたが、やはり食事って、

単に栄養摂取のためだけではないですよね。このコロナ禍において、気のおけない人達との会食が、いかに私の人生の潤いになっていたかを実感しました。現在、野口宇宙飛行士が新型宇宙船「クルードラゴン」で宇宙に滞在されています。宇宙でも楽しみは食事だそうですが、初期の頃の

チューブ食は噛み応えがなく、宇宙飛行士の方には不評でした。その後、食感なども考慮に入れて

改良され、今ではたくさんの種類が用意されています。
 子ども達には噛むことの大切さはもちろんですが、まず、食べることの楽しさを伝えたいです。クッキングを再開しましたが、やはり自分達で調理すると、苦手な野菜もおかわりして食べています。感染予防にも気を配りながら、「作って食べる」ことをこれからも楽しんでいきます。

(飯塚)