Column

人と人との関わり合い∼そこから得られる心の育ち~

人と人との関わり合い~そこから得られる心の育ち~

先月の園だよりで法人プログラムの一つ、心育についてご紹介させていただきました。

清香会は「子ども達の輝く未来のために」を職員のミッションとして保育しています。

その中で、子ども一人ひとりのより良い育ちには、「心育」が大切だということを改めてお伝えしたく、エピソードをご紹介します。

 息子をお迎えに行ったある日。

階段を自分で降りたいと訴え、一段一段踏みしめるように降り出しました。

まだおぼつかないところもあるため、私はいつでも手を差し出せるようにスタンバイ。

でも、そんなサポートは願い下げ!と言わんばかりに「やーや!」と私のアシストを拒否し続けました。

仕方なく、分かったよ…と手を引っ込めて見守っていると、数段下に幼児クラスのお兄ちゃんの姿が

見えました。(ここではお兄ちゃんをAくんと呼びますね)

Aくんはすかさず「あ、この子小さいから僕が見ててあげるね」と私に言いました。

すると、息子が一段降りればその子も一段、また一段降りるともう一段、と息子のスピードに合わせて

決して手を出すことなく、口を出さず、息子の方に体を向けたまま降りてくる様子をそっと見守り続けてくれました。

無事に階段を降り切ると、「上手にできたね!お名前は?なんのマーク?」とお話をしてくれ、互いに自己紹介をすることに。息子はすっかりAくんの魅力に引き込まれ、後を追ってニコニコ。

最後はバイバイと手を振り合って帰路につきました。 

たった5分ほどのことだったと思います。

この時の場面を思い出すたびに、心が温かくなり、そして心育にも通ずるものだと実感します。

同じ場面であっても、直接的に手を引いてサポートをする人もいれば、声をかけてサポートする人も

います。けれど、Aくんはその両方をしませんでした。それはなぜでしょうか?

本人はそれほど深く考えたことではなかったかもしれません。

しかし、こういった実体験を、日々の中で何度も繰り返し経験を積み重ねることで、今回のようなさりげない「寄り添い」が出来る子に育っていくのだな、と考えさせられました。

反対に息子のように、自分のやりたい!を最後まで認めて(肯定)くれる環境があると、その後は

どういった成長を遂げるのか…今後が楽しみです。

さて先日、マジョラムの子ども達が遊戯やバルーンの見せ合いをしました。

年中の子ども達が大きく声を揃えてバルーンの演技をし始めました。

すると、その周りで見ていた年少が、その姿に引き込まれるようにして目を丸く輝かせ、手拍子を始めました。

その手拍子はだんだん広がっていき、年中の子ども達の気持ちも最高潮に!

年上のお友達の演技に強い憧れを抱く姿、年下の子ども達の反応を自分のパワーに変える姿、異年齢

だからこそ得られるものがそこにありました。

演技後、「年中さんかっこよかったね~!ね~!」と二人で顔を見合わせる子どもの姿が、異年齢の良さを物語っていました。

直接的なコミュニケーションや、このような実体験が大切だからこそ、今後もそこにフォーカスした保育を考え実践していきます。

そして子ども達の輝く未来のために、人と人との関わり合いを大事にしていこうと、改めて強く感じています。                                   (尾池)