Column

災害から身を守るために

今年、日本全国ではさまざまな災害が起こりました。関東で平年よりも22日早く梅雨が明けるとそこからは各地で猛暑が記録され、たくさんの熱中症のニュースも耳にしました。日中の気温が30℃以上である日が当たり前で、大人でも少しの時間外にいただけで倒れそうな毎日でしたね。園でも散歩にでかけられず、水遊びでさえも制限しなければならないほどの暑さでした。

また、北海道を襲った“北海道胆振東部地震”では住民が寝静まっている午前3時頃に震度7の揺れが襲い、死者41人、負傷者681人と多大な被害がでました。北海道胆振東部地震で大きな被害をもたらした原因の一つに、土砂崩れがあります。土砂崩れは今年、西日本を襲った豪雨でも被害がニュースで伝えられていました。

 私の地元である島根県は、広島から繋がっている江の川という中国地方最大の川が流れています。7月、西日本の豪雨を耳にした時、私はすぐに実家へ連絡しました。島根県はそれほど雨が降っておらず、夜になるとやむような状態でしたが、広島ではまだまだ雨が降り続けているといい、それによって江の川の水位も増え続けているとの返事でした。実家はまさに江の川のすぐ横にあり、氾濫すれば床下浸水、最悪の場合家ごと流されてしまうようなところにあります。私の焦りとは裏腹に、実家に住む家族はそれほど重大に捉えておらず、家から道をはさんだ向かいにあり、数メートル上にある祖父母の家に避難しただけでした。

私はその話を電話で聞き「なんでもっと安全なところに避難しないの!?」と思わず強い口調で話をしました。その時点ではすでに避難するための道は氾濫の危険によって通行止めになり、どこにも行けない状態とのことでした。「もう道も通れないからどうしようもない」と言われたとき、私は何もできない、他になにもしてあげられないという悔しさと後悔が残りました。朝になり、すぐに連絡をすると無事を告げる報告と共に、実家ぎりぎりまで水が増している写真が送られていました。

 後日、ニュースを見ていた時にこんな話を聞きました。離れて暮らす実家で豪雨による災害が起こっているが、家族は避難しない。離れて暮らす娘はどうしても心配になり、実家の近所に住む人に電話をかけ、家族に避難するよう伝えてほしいと伝えたことで家族はようやく避難。その後実家は流されてしまったというニュースです。今回の私の状況ととても似ていました。しかし私は「なにもできない」と思うだけで、このニュースのような行動をとることはできていません。「なにもできない」ではなく、命を救うために「なにかできることがあるかもしれない」という考えを持つようにしようと感じました。もしあの時実家が流されていたら‥と思うだけでゾッとします。

 災害が起こった時には早めに避難することが大事、と災害が起こるたびに言われています。それでも人は「何も起こらなかった時、避難していると恥ずかしい」、「自分のところは大丈夫」という気持ちから避難を躊躇するのです。自分の身を守るために何が一番正しいのかを考えて行動することが大事であり、そのためには自分の住む地域や職場の立地をきちんと理解する必要があると改めて感じました。

私達も危機管理の研修を受けるのですが、そこでは「大きく騒いで、小さく収める」ことが鉄則だというお話しを聞きました。何か起こってから後悔するのではなく、念のためにでも出来ることを出来るうちにやることが大切だということです。

また、園で災害が起こった時、どこに避難するのが良いのか、もしくは園内の方が安全なのか。災害によってどんなことが考えられるのかを予想して対策を立てておくことで、子ども達の命を救うのだということを忘れず、危機管理にも力をいれていこうと改めて感じるきっかけになりました。

(岡先)