Column

卵理論

新年度が始まって早1か月。
新入園の子どもたちも少しずつ落ち着いて過ごせる時間が増えたように思います。
そして、仕事復帰された保護者のみなさまは、新しい生活が始まり、
時間の流れが早く感じているのではないでしょうか?
子どもを起こし、朝ごはんを食べ、自分も子どもたちも身支度を整えて保育園にくる。
これだけの毎日のルーティンでも、すんなり行く日もあれば、ぐずってけんかをしながら、
そして子どもを怒ってしまい、自己嫌悪におちいったりしながら通勤する。
まさに私自身そんな毎日を送っています。

そんな余裕のない日々の中でも、ひとつ心に留めていることがあります。

「卵理論」を聞いたことがありますか?
ある会社で、水を入れて混ぜて焼くだけのホットケーキミックスを販売したら、全然売れなかった。
そこでホットケーキミックスから、卵と牛乳の成分を除いて自分で卵を割り入れ、
牛乳を足して混ぜて焼いてもらうことにしたら売れるようになった、というものです。
行動経済学で使われる用語ですが、
つまり人は自分の手がかかった物に愛着を示す、という理論です。
二つの材料を入れるだけでも少し手作り感があり、達成感を感じられます。
買った洋服でも、ワッペンを付けるだけで愛着も倍増しますよね。

これを子育ての中で応用すると、
例えば靴をなんとか履こうとしている子どもに、
親が履かせてあげるのは簡単ですが、靴に自分で足をさしいれるだけ、
または最後に自分でマジックテープでとめることをするだけでも
子どもは達成感を得られます。
また料理をするときにまだ切ったりすることが難しくても、
混ぜたり、切った野菜を鍋の中に入れるだけでも
子どもはお手伝いできた!という達成感が得られたり、
自分が作った!という気持ちでいつもより食べられたりすることがあります。
ほんの少しのことでも、「0」か「1」かの差は果てしなく大きいものです。
そして「0」はどれだけ足しても「0」のままですが、
「1」はやがて「2」になり、「3」になり、、、
そうやって子どもの出来ることも増えていきます。

忙しい毎日ですが、子どもたちの「やりたい!」という気持ちに寄り添い、
また「できた!」という気持ちをたくさん味わえるよう、関わっていきたいですね。
(町田)